――宵。　それは、妖魔の時間。　闇が手を取り踊り明かす、悪魔たちの、時間だった。　支配権は人間（ヒト）にはない。――こんな、塗り潰したような黒の中じゃ,ナイキサッカースパイク。

　私はそんな中、ひとり眠れないでいた。　眠くない。　そんな子供みたいな、単純な理由で。　瞼を閉じたって目の前の景色は鮮明に思い出せるし、思考に靄がかかることもない。完全なる覚醒の状態,サッカースパイク 新作 ナイキ。……こんな時じゃなければ、ありがたいのに,ミズノサッカースパイク。

　それは最初だけの戯言。　今さらこれを夢だなんて割り切れるほど、私は気楽になんてなれない。　だってね、こんな生々しい悪夢なんて、長く続くわけがないもの。

　知らない世界,マーキュリアルヴェイパー17。　考えてみればこんな状況下でぐっすり眠れていた私の方がどうかしているけれど、それでも、眠れるということはありがたいことだ。食事もきちんと取れていた,サッカースパイク アディゼロ。……うーん。私って案外、肝っ玉大きいのかな。

　だけどこれを現実だと受け入れられるほど、私は強くもないよ――？　……せめて。　こんな狂った世界でも、誰かが愛してくれればよかったのに。

　――私は。　遠い世界にいるのだと、今さらながら、思い知らされる,サッカースパイク。　違うんだ。私はこの世界の人間じゃない。　――『これは、夢よ』。

「――勝手な願い、か」　ため息を一つ、落とした。　愛して、だなんて。　彼らは『アリス』を愛しているのに。　私はそれ以上、何を望めると言うのだろう。　幼稚でわがまま、だなんて、私には似合わないと思ってたのに。　――馬鹿な話,サッカースパイク アディゼロ。　私は今、こんなに子供だ,マーキュリアルヴェイパー9。「……憂いは女を美しく見せるって言うけどね」　ふいに、自分のものではない低い声が、私の思考を汲み取るように響いた。　驚いて身体を起こす。　――この、声は？　嫌なほど聞き覚えのある声。そんなに長い間一緒にいるわけでもないのに、もう聞き飽きてしまったほどの。「ありすは相変わらず可愛げないよね。そこが好きだけど」　失礼な言葉。普段なら何をと殴りかかりたくもなる、挑発的な口調で。「――チェシャ……、猫？」「あたり」　悪戯っぽい声音に首を巡らせれば、扉に背中を預けた、極彩色の人影が目に入る。　それは予想通りの人なのに、どうしてか心臓がどきりと跳ね上がった。「眠れないの？ ありす」http://www.　いやそれもありがたいことだけれども。何だか複雑。ありがたいけれど！　原因は絶対あのパラサイト姉のせいだ。思いながらちょっと恨んだ。感謝すべきところでも。「……お姉ちゃん」　ふと、口に出して呟いた。何だかひどく現実味がない。　何の意味も持たないただの記号のようで、私は、すごく、怖いと思った,マーキュリアルヴェイパー14。

第５６話　嘘つきアリスと嘘つくチェシャ猫
　夜半の月が、カーテン越しに淡い光を踊らせる。　神秘的というよりは魅惑的なその色に、ぼんやりと、霞んだ焦点を向けていた,ナイキサッカースパイク。

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